僕は3年間2カ所の保健所で薬剤師として働いていました。
地方公務員は基本的に2年で転勤です。
薬剤師で保健所といえば薬事関係だと思うかもしれませんが、それをやったのは1年だけで最初の2年は感染症対策をしていました。
感染症対策は保健師さんの仕事がほとんどなので薬剤師が関わることは少なく、薬剤師では僕くらいしか関わっていませんでした。
保健所の職種
保健所職員の専門職は色々で、保健師、獣医、管理栄養士、臨床検査技師、薬剤師、医師、行政職でした。
人数では保健師、獣医、行政職が圧倒的に多く、管理栄養士、薬剤師、医師は一人くらいでした。小さな自治体ではこれくらいの割合かと思います。
先輩はいない
本来なら先輩薬剤師について教えてもらうと思いますが、地方では一人しか薬剤師が配置されていないので先輩はいません。
新卒でいきなり一人行動することが多い職業だと思いました。
上司は獣医のことが多いので獣医に仕事を教えてもらうという何とも変な感じです。
行政では獣医の資格を持っていると薬剤師の仕事はすべてできますが、逆は無理なので獣医の方が人数が多く重宝されます。
感染症対策の仕事
感染症全般、主に結核の患者さんの対応をすることになります。
保健所の仕事は患者さんを治療することでなく他の住民に広げないための対策を取ることです。つまり隔離です。
結核と言っても人にうつらない肺外結核が多いので大したことありません。
それと結核の薬はめちゃくちゃ効くので2週間も飲めば感染性はほぼ無くなります。
強制入院への同意や患者、家族への説明、DOTS、結核審査会の設定などが主な仕事でした。
結核の治療費はほぼ国が負担してくるのですがその治療法が適正であるかの審査があります。それが結核審査会です。
メンバーは結核に詳しい医師数名、人権保護のための弁護士などです。
意外かもしれませんが医師と関わる機会も多いので結核限定で詳しくなります。
まあ、保健所長が医師なので普段から関わっていますが。。。
感染症対策は保健師がメインで、保健師は医師の指示がないと業務ができないので必ず医師と関わることになります。
逆に薬事には医師はほぼ関係ないので担当者の単独プレイが多いです。
対応が必要な感染症で多いのは結核のほかに腸管出血性大腸菌(O−157など)やレジオネラです。まあ、結核が90%以上ですが。
薬事
これは薬剤師らしい仕事で薬局、ドラッグストア、卸、病院と関わることが多いです。
薬局開設、更新、変更、麻薬、覚せい剤原料など薬機法に沿った届出や許可を与えることになります。そのための立入検査も行います。
新卒で入って1年目でいきなり一人で立ち入りに行くのでマジで訳がわかりませんが慣れです。初めは違反かどうかもわかりませんが徐々にどこをチェックするかがわかってきます。
1年目のペーペーに何十年も働いている薬剤師が頭を下げてくるので変な感じです。
立ち入りで多いのが麻薬廃棄です。
有効期限切れになった麻薬廃棄する時は保健所職員の立会いが必要だからです。
自治体によっては保健所まで持ってきてもらって廃棄することもありますが、僕の県ではこちらから出向いていました。この時は保健所職員が2人必要なので単独プレイはできませんが薬剤師がいればもう一人の職員は何の資格も不要なので暇な人に頼んでました。
薬局以外の仕事では薬物乱用防止対策です。
基本的には薬局で働く薬剤師と保護司と呼ばれる一般人の2人で一つの学校で授業をしてもらうことになります。
その人たちへの説明会や学校との日程調整をするのですがこれが超めんどくさい。
この事業は無償とだったので薬剤師は基本行きたがりません。
さらに二人一組ということは好き嫌いもあります。
はっきり言って、僕が一人でほとんど行きたかったです。
結局、数校は僕が担当しました。
プレゼン資料を自作して授業するのは楽しくて余裕があればもっと行きたかったです。
薬事の仕事は単独ですることが多く、終わってから上司に報告するだけだったので僕は好きでした。
給与は?
薬剤師手当がないのでめちゃくちゃ安かったです。
家賃補助と交通費も含めて年収350万円くらいで3年目は400万円でした。
僕は残業がほぼ0だったので残業代も支給されていません。
福利厚生
公務員だと1年に20日間の年休、5日間の夏季休暇、年末年始は前後3日間ずつの休暇がありました。もちろん土日祝日は休みです。
実際問題使えるかですが、僕はほぼ使っていました。
年に2回海外旅行に行った年もありました。
産休、育休も充実していて使っている人ばかりでした。
はっきり言って福利厚生はめちゃくちゃいいです。
まとめ
給与は少ないですが福利厚生は充実しています。
仕事内容は退屈なので特にやりたいことがなくのんびりしたい人にはオススメの仕事です。
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